きらきらひかれ

ジャニオタのブログです。→ほぼ茶の間。

現場記録、Defiled-ディファイルド-

 

 

(※ネタバレ含みます)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幼い頃から母親に言われていた言葉で今も心に留めているものがいくつかあって、そのひとつが「本をたくさん読みなさい」だった。

 

別に教育熱心な親だったとかそういうわけでは全然なくて、「勉強をしなさい」は一度も言われたことはないけれど、「本をたくさん読みなさい」は何度も言われた。

 

本を読むといろんな言葉や物事を知ることができるから、というのが理由で、本ならなんでも良かった。小説でも図鑑でも漫画でも良かった。「ゲームが欲しい」と言っても「誕生日まで待ちなさい」「クリスマスまで待ちなさい」と言われたけれど、「ほしい本がある」と言えば大抵は買ってもらえた。

 

そんな環境で育ったから、人並みかそれ以上は本に触れてきたと思っているし、わたしは今でも本がとても好きだ。そして、その本がたくさん置いてある図書館は、わたしの大好きな場所のひとつになった。

 

書店とは違う古い本のにおい、ひとがいないわけではないのに静かな空間、そこに流れている独特な空気がとても好きだし、ハリーもきっとそうだったと思う。

 

 

 

 

こんなにも劇中から泣けた舞台は初めてだった。今までも感極まってカーテンコールで泣いたりすることはあったけれど、Defiledは劇の最中にぼろぼろ泣いた。なにが悲しいのか、分からないけれど泣いた。

 

 

ハリーは孤独な人間だった。「一匹狼だ」なんて言っていたけれど、ハリーはそこまでつよいひとではないと思う。そんなハリーの孤独を埋めていたのが図書館で、本だった。

もともと本が好きだったのだろうけど、寂しさを紛らわすために本を読んでいるハリーがいとも簡単に想像できて、どうしようもなく悲しくなった。

 

 

ハリーの目的は、カード目録を残すことではなかった。”カード目録のある図書館”が要求だった。ブライアンが引き出しから取り出した、ハーディー兄弟の探偵シリーズのカード目録を『H』の引き出しに戻すハリーの目が、手つきが、すごくすごく優しくて、あたたかくて、ほんとうに大好きなのだと感じた。

 

 

要求は"カード目録を図書館に残すこと"だったけれど、途中からはやっぱり意地というか、そういうものも入っていたと思う。偉人たちと自分を重ねて、かつて恋人に婚約を破棄されて、いまは職もなくして、そんな自分でもすごいことが出来るんだ!って認めて欲しかったのかな。もちろんそれがいちばんだったとは思わないけれど、少しはそういう気持ちもあったと思う。

 

 

 

ブライアンとハリーの"現実"は当たり前だけどそれぞれ違って、悲しいけれどそれもまた現実なのだ。それぞれの環境を受け入れて、飲み込んで、生きていかなければならないのだ。

 

  

 

劇があんな結末だったからだと思うけれど、"わたしの中のハリー"は間違いなく死んだ。たまに観劇した舞台の登場人物のことをふと思い出したりすることがあって、「今はこうしてるんじゃないか」とかそんなことを想像したりすることがあるのだけど、たぶんハリーはどうしたって過去形になってしまう。そのくらいに完璧な死だった。

 

 

この舞台の上演期間中に何度も何度もハリーという人物を生きて、死んで、生きて、死んで、そうして戸塚くんの中に"ハリー"がちょっとずつ積み重なっていくのだと思うと胸が少し苦しくなる。それでも戸塚くんの中にいるハリーはいつまでも生きてほしいと思ってしまう。

 

 

 

 

 

 

例えばコンサートのステージで楽しそうに踊って歌っているところとか、そういう輝いている姿を見られたとき、「ああ、このひとのことを好きになって良かった」と改めて思うことがある。

 

今回このDefiledを観て、やっぱり戸塚くんが好きだと思った。一生懸命とか、精一杯とか、そんなもんじゃない。魂を削っている瞬間をわたしは見た気がする。ハリーと、ハリーに入っている戸塚くんがどうしようもなくいとおしかった。

 

戸塚くんを好きになってそろそろ2年経つけれど、見るたびに知らない一面を知るようでとても楽しい。退屈させてくれない戸塚くんが、わたしはとても好きです。 

 

 

 

今回戸塚くんがハリーという人物と、勝村政信さんという素晴らしい役者さんと、何よりこのDefiledという舞台に出会えて本当に嬉しい。戸塚くんはきっともっとすごい役者に、アイドルに、なる。

 

 

 

 

 

舞台Defiled千穐楽のその日まで、駆け抜けられますように。

 

 

 

 

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